2002年1月21日 北欧レコード買付日誌(スウェーデン編)① ~ 真冬にロックアウトで凍死寸前。金縛りになって老女の幽霊に足を掴まれる。
ず~っと以前に個人的なホームページで公開していたものです。
とっくの昔に削除してしまったと思っていたのですが、何年か振りに押入れから出てきた外付けハードディスクの中にバックアップしてあったものを奇跡の再発見!ということで、せっかくなので再公開中。
まだお仕事ではなくて、マニアが高じて個人的なコレクション収集の為と、漠然といずれ開きたいと思っていたレコードのネットショップのオープン在庫収集の為に遠征した時の記録ですので、今から読み直すと恥ずかしい部分が多々ございますが、買付けの思い出というと、やはりこの回が一番思い出深く強烈に印象に残っています。
読み返してみますと、この時期はまだ海外で使用できる携帯電話は一般的ではなかった為、所持しておらず色々と余計な苦労をしてます。
2002年といえば当方まだ30歳になりたての若造でして、その前年に、とあるサイトの管理人さんから紹介を受けた、スウェーデン人のレコードディーラーさんと出会っており、どんどんレコード屋さんへの道へと突き進んでいった時期でした。
そのディラーには後々色々と非常にお世話になっていく訳ですが、彼との出会いで人生が大きく変わりました。
出会いは大切ですね。
その後、苦難のレコード屋さんライフを味わい続け、悶絶しながら現在に至るハメになる訳ですが・・・。
この渡航時に私は、人間はビールとピザがあれば生きられること、どんな寝坊助でも目覚まし無しで時間通り起きられること、吹雪で行倒れになる寸前は不思議と心地良くなるということを学びました。
写真も貼ってありますが、如何せん当時所有していたデジカメが35万画素でしたので画質がヘルプレスです。どうぞご容赦下さいませ。駄文ですがどうぞ。
(以上、2011.04.25追記)
2002年1月北欧渡航記
行って参りました。10年振りのスウェーデンでございます。誤字脱字鋭意修正中。
2002年1月21日
早朝、小雨の滴る中、妻に駅まで見送ってもらう。
少しでも資金を節約する為、関西空港へは快速で向かった。
関空に来たのは実に久しぶりで、弟が大学を留年してしまうことを誤魔化すため留学に行った時に見送りに来て以来だ。
個人的見解だが、留学するので留年するのと、留年するので留学するのとでは、その動機の部分において、持っている意味合いはかなり大きく違ってくると思われる。
しかもニュージーランドに行くということで、訛った英語を覚えてどうするんだという考えは筆者の偏見だろうか。
さて、チェックインも無事済んで、久しぶりの飛行機に緊張しながら搭乗したら筆者の席に、屈強のアラブ系男性が座っているではないか。
内心「初っ端からこれか....」と気が重くなりながらも笑顔で「どいて頂戴」と伝える。
道中ではそのアラブ人のイビキにかなり悩まされたが、何とか無事にアムステルダムに到着。
ボーディングを待ちストックホルムへと飛び立つ。
既に他の日本人の姿は無い。
ストックホルムに到着後空港から出るのに何の入国審査も無かったのには若干戸惑ったが(追記:気が付かないうちにアムステルダムで既に審査済みだった)、とにかくもう19時近くだったので急いで両替してバスにのる。70sek也。
中央駅到着後、そこから地下鉄でホテルの住所に辿り着くも、どう見ても普通のアパートしか建っておらず、通行人に聞いても「そんなホテルは知らん」や「どう見ても普通のアパートだね、ラブリーホテルだな」などとおちょくられる始末だ。
早速一体どうなっているんだと途方にくれる。
地図を見る限り住所は絶対に間違って無いので、これは電話で聞かねばと思いGLOBEN(東京ドームみたいな場所)を挟んで反対側に位置する駅まで重い荷物を背負ったまま必死で走って行ってテレカを買い、電話するも全く繋がらない。
「どうなってんだ」と再度途方にくれるも既にその時点で21時になってしまっているので、野宿するしかないかとも思ったが、一枚も猟盤をせず初日から凍死しても死にきれないと思い直し、あわてて他のホテルを当たる。
HOTEL GLOBENが近くにあるのだが値段が高すぎて泊まれないし、電話をかけまくってなんとか22時まで開いているQueen's Hotelを見つけた。
「22時までに来ないと閉めるからね」
と言われ、そこからは猛ダッシュで電車に乗り込み、人に場所を聞きまくりながら走って、真冬なのに汗だくになりながら滑り込みセーフで宿を得る事が出来た。
「間に合ったね」
と優しく微笑みながら応対してくれる受付の綺麗なお姉様が天使に見えたのだが、「このホテルの中で一番安い部屋をお願いします」と訊くとバス・トイレ・洗面所無しで日本円で一泊¥9000円もすると言われる。
一番安いスペシャル・ルームだということだが、貧乏買付旅行にはとんでもなく痛い出費だ。
しかも2泊からじゃなきゃダメと言われ、天使一転、悪魔のように思えてきたが、他に行く場所も無いので渋々宿泊することに。
現地で世話になるMALMO在住のディーラーH氏に連絡を取り、ホテルが変わった事を伝え明日筆者を案内してくれるS氏にその旨伝えてもらうことにした。
セヴンイレブンでビール1リットルと弁当を買い部屋で食して就寝するも、疲れからなのか、金縛り状態にあってしまった。
動かない体で必死に意識を戻しながら薄目を開けてみると、ボサボサの白髪で白色のネグリジェっぽい服を着た顔面蒼白の、明らかに「あんた幽霊でしょ!」的な白人老女が、鍵を掛けてあった筈の部屋のドアを開けてこちらの様子を伺っているではないですかっ!!
恐怖のあまりに見なかったことにしようと再び目を閉じて寝ようとしたのですが、いきなり足がグイっと引っ張られる感覚を受け、金縛り継続中ながら再度必死で薄目を開けて足元を見てみると、部屋の中に入り込んだ老女が立ち、無言で筆者の足を両手で掴み、おもむろにグイッと引っ張っているという悪夢or怪異(?)で2回程悲鳴をあげながら飛び起きてしまう。
最悪な初日でした。
QUEEN'S HOTELの内部です。
ビルの一部がホテルになってるみたいです。
雑居ビルですね。内装は綺麗で、朝食も美味しかったです。
ただ、値段が......。
まぁ、ストックホルム市内はどこも似たりよったりらしいですが。
フロントの上の階の部屋に泊まりました。
↓このドアが部屋のある区画の入り口です
↓この奥が部屋になります
↓こちらに行くとシャワーとトイレ(勿論全て共用)があります。
↓この奥に見えるドアの左手にあるドアを入ると部屋になります。
で、これが悪夢でうなされた部屋の内部になります。
今改めてデジカメの画像を見ると、ベッドの上のバックパックのあたりが何だかボヤけていますが、霊じゃないでしょうな(汗)。
有るのは電話、テレビ、ベッド、タンスのみ。
値段高いよ。
とんだスペシャル・ルームでした。訳ありな部屋だったのでしょうか。
後日談だが当初泊まろうとして泊まれなかったホテルには無事に連絡が付き、宿を変わることにしました。
なんだかホテルじゃなくて、レンタル・ルームみたいな場所で、フロントが無かったのです。
経営者がマンションの部屋を何戸か所有しており、それを貸していたのでした。「ホテルじゃねーじゃん」と文句の一つも言いたいところだ。
・・・続く