2002年1月26日 北欧レコード買付日誌(スウェーデン編)⑥ ~ レコードフェアーを襲撃
1月26日
オリャ~ッと気合で6時に起きる。
本日は今回の買付け旅行の大目玉、レコードフェアーの初日です。
この日だけは何がなんでも時間通りに起きねばならなかったのです。
目覚ましが無いので起きれるかどうか非常に緊張しながら眠りに落ちたのですが、無事に起床できた!
こんなことは猟盤がかかっていないと出来る業ではありません。
先日、自宅までお邪魔したS氏と一緒に行くと約束していたので、中央駅で朝7時に待ち合わせて、タクシーで会場へと向かう。
S氏は午後からロンドンのレコードフェアーに向かうそうで、ものすごくでかいバッグを持ってきていました。
一般入場客は10時からお金を払っての入場になるのですが、業者ということで準備中の会場に無料で入り込む。
既に顔見知りになってしまったショップの人達が次から次へと
「待ってたよ~」
とか
「やっぱり来たな」
等々と声を掛けてくれたのは嬉しかった。
「お前の為に店にたくさんキープしておいたから、また後日きてくれよ」
なんて言われたら来た甲斐があったというものだ。
入場するや否や、ざっとどんな会場になっているか確認する。
会場は広い展示場みたいなホールで、ディラーさんが会議机のブースを設けて、その上に所狭しとCDやレコードの詰まったダンボールを並べてたり、ビデオを流してたり、本を売ってたり、Tシャツとかを売ってたりと、日本でコミケと呼ばれている催しに近い感じなのではないでしょうか(筆者はコミケに行ったことがないので推測なのですが)。
日本のレコードフェアーとは違い、会計もそれぞれの売主のブースで済ますので、色々と店主の方々と談笑しやすいし、とにかく規模が比べものにならないくらいデカイので、非常に楽しそ~♪
さて、まだ開場前で店主の方々が忙しく準備をしているのだが、抜け目の無いディーラー達は早速あちこちで品物の物色を始めているではありませんかっ!
ここで負けては日本男児の名が廃る。
荷物を見知りの店のブースに置かせてもらい、いそいそと準備を始める。
経験したことのある収集家の方々もいらっしゃるかと思うのですが、尋常じゃない量のレコード箱を猛烈なスピードで漁り続けていると指の皮の耐久力をオーバーし、見たこともないぐらいの逆剥けを引き起こすので、その対策に左右の指先にバンドエイドを巻きつける。
余談ですが、レコード収集家界の現人神であられる、かの山下T郎氏はその昔ゴム手袋を付けてエサ箱を漁っていたという伝説もありますね。
準備を整え、早速戦闘開始 (`´ゞ !
既に多くの戦闘員達が熾烈な闘いを始めているので、まだ荒らされていない、荷物を出し始めたばかりのブースのみを狙って肉薄強襲ピンポイント攻撃をする。
とにかく敵は素人ではないプロ集団なのでエサ箱を漁るスピードと品物を抜く正確さがハンパじゃなく、一瞬の躊躇が致命傷となる。
「これは」と思ったものは見敵必殺・即断即決で、どんどん購入していく。
ブースで代金を支払うまではエサ箱から抜いた品物は山積みにして傍らに積んだまま物色を続けている訳ですが、その山積みの品物が目印になってしまい、すぐに他のディーラー達が群がってくるのには参った。
ピターっと横に付き、追い抜かさんばかりの物凄い勢いで物色してきて、筆者を煽りまくってくる!
しかも物凄い敵意というか、友好的ではないオーラを振り撒きながらである。
暴走族に囲まれた初心者マークのおばちゃんドライバーの心境とはこういうものでしょうか。
かくいう私も、西日本各地のレコード屋を巡り、レコードを漁る指さばき、スピード、正確さ、美しさ(?)には自信があったのですが、メンタル面の弱さがブルペンピッチャー止まりを感じさせます。
途中で、まだ荒らされていないメタル系の品物が多いブースを発見し、これはシメたと漁っていると、筆者が抜いた品物を目ざとく見つけたと思われるディーラーが、定石の如く横に付き、筆者を煽りまくってくる。
「早速嗅ぎつけやがったな」と、どんな奴かと振り向いてみると、昨日のP氏。
しかも筆者のことを全く無視して追い上げてくる。
おいおい、チョットマッテクレと。ここにはレコードを漁る怪しい東洋人は俺しかいないだろと。
さすがに無視してバトルを続ける気はないので、
「俺だよ」
と言うと、ニチャーと笑って、
「知ってるよ」
と言いながら漁り続ける。
こっちも苦笑しながら、抜かれないようにあわてて物色し続け、そのブースの物色を終了後にやっと、お互い会話を交わす。
P氏もブースを出しているので、後程行く旨を伝える。
途中でS氏を見つけ、
「何か買った?」
と聞くと、
「俺はここでは何も買うものは無い」
とのお言葉。
そりゃロンドンへ行く前に買えないでしょうな。
P氏のブースに行くが、殆ど昨日見せてもらったものの残りなので、特に購入するものは無かった。
10時近くになり、ひと通り目ぼしいブースの襲撃が終わった頃、入口近辺を見てみると一般のお客さん達が、開場は今か今かとひしめいているではありませんか。
これだけプロ集団が抜きまくった後なのに、なんだかな~と思う。
日本のフェアーも開場前に散々抜かれてるのだろうか。複雑な心境だ。
開場時間の10時になると一般客がドーっと入ってきてすごい人になってしまった。
それでも猟盤を続けたのだが、とにかく会場が広いし、量は多いし、睡眠不足だし、朝食抜きで腹ペコだし、飲料が無くて喉はカラカラだしで倒れそうなくらいフラフラになる。
入場時に証明のスタンプを手に押してもらわなかったので、一度会場から出ると再入場出来なくなってしまうので、食事や飲料を調達できず、悶絶する。
12時頃になると我慢も限界になったので帰ろうと思い、荷物を預けていたブースに行くとS氏は既にロンドンへ向かった後だったようで、別れの挨拶が出来なかったのが残念だ。
帰り際にメタルを扱っているブース全てに挨拶を交わし、当方のウォント・リストを配り、退場。
レコード・フェアーというと、アメリカやイギリスが有名だけど、ここ北欧のスウェーデンもかなり熱いフェアーでした。
弁当持参の家族連れやカップルが隅のほうの椅子に座って食事してたり、アット・ホームで収集家だけが集まるという感じでもなく、充分楽しめました!
さて、来るときはタクシーで来たので帰りの駅が少々分かり辛かったが、退場する他の来客者の後をノコノコ付いて行って無事電車でホテルまで戻る。
睡眠不足と積もり積もった疲れから、午後からは特に何をするでも無く、ブラブラとホテルの周りを散策すると、近くの商店街にピザ屋を発見。
ハンバーガーの夕食にもそろそろ飽きてきたので、テイクアウトする。
普通の小さい冴えない商店風の店なのだが、メニューも豊富で、石窯も備えており、スーパーマリオに似た風貌のオヤジさんもいい味出してて、なんだか良さげな感じだ。
すぐ近くの個人商店に入り、お菓子とビール、その他つまみになりそうな物を購入する。
テイクアウトのピザとビール1.5リットル&つまみを食して昼寝。
22時におきて、明日会う予定のA氏とH氏に明日の打ち合わせを行うため、駅前まで出かけて公衆電話から電話をする。
明日はレコードフェアー第2弾だ。今日とは場所が違い、電車で結構時間が掛かる場所なので、決して寝坊は許されない。
早くも残りの軍資金が乏しくなってきた事が心掛かりだ・・・。
レコードフェアーの会場です。
夕食のピザ&ビール。安くて美味しかったです。
・・・続く