2002年1月27日 北欧レコード買付日誌(スウェーデン編)⑦ ~ レコードフェアー第2弾 in エレブルー(オレブロ)
1月27日
今朝も気合で7時に起きる。目覚まし無くても起きれるものだ。
レコードに取り憑かれているのだろうか。猟盤がかかった時の自分が恐ろしい。
早速電車に乗り込み、揺られること2時間、フェアー第2弾の会場があるOrebroへ。
途中、強烈な睡魔に襲われるも、ここで乗り過ごしたら一大事とばかりに、必死で目を開け続ける。
無事、寝過ごす事もなくOrebroに到着。なんだかうら寂しい片田舎という感じだ。
とりあえず前日の反省から、駅の売店で昼食用の食料や水を買い込み、H氏の携帯に電話し、会場近くで待ち合わせをすることに。
中々場所が分からず苦労したが、約4ヶ月振りの再会を果たす。
前日の会場と違い、ここの会場は大きめのライヴハウスのような場所で、日本のレコードフェアと同規模な広さだ。
入り口近辺で騒いでいる開場待ちの一般客を尻目に、こっそり彼と入場し、ブースにレコードバッグを置き、早速猟盤開始!
ここでも知り合った店の連中が気さくに声を掛けてくれ、その多くは
「ここまで来たの?」
と笑っていた。
比較的小さい場所で、前日ほど他のディーラーさんもおらず、ゆっくりと各ブースを物色できた。
会場で落ち合う予定になっていたA氏だが、彼もこのフェアーに出店するとのことだったので、予め昨日の電話で
「東洋人を見かけたら声を掛けてくれ、俺だから」
と無責任にも他の東洋人がいない事を前提として伝えておいたのだが、会場内をブラブラしていると直ぐに、
「お前か?」
と声をかけてきてくれて、無事会うことが出来た。
彼に注文しておいたレコードや、筆者用に取り置きしておいてくれた他の激レア・アイテムをブ-ス内にキープしてあるからと言うので、早速、彼の売り場の中で暫し物色。
A氏はサイケ・プログレ系が得意なディーラーさんなので、アレコレとお勧め商品を聞き出し、筆者の聴いた事の無いバンドのアルバムばかりを選んで大量に買うことにする。
そっち系統はお値段もそれなりだったのですが、ハードロック系は比較的安く提供してもらえた。
その後、暫くあちこちのブースを再度襲撃し、現地の人が買わないようなマイナーな現地アーティストのレコードばかりを次から次へと購入。
「こんなの誰も買わないぞ」
と笑われること数回、
「そういうのが欲しいんです」
とその度返答する。
開場時間になり一般客もドッと入ってくる。かなりの盛況ぶりだ!
暫くホクホク顔でうろちょろしていると何処から嗅ぎ付けたのか、現地の新聞記者がツカツカと近づいてきて筆者にインタビューをさせてくれと言うではありませんか。
なんでも、物好きな日本人がスウェーデンのこんな田舎まで来て、変なレコードばかりを漁っているという情報を聞いて興味を持ったらしい。
色々と訊かれたが果たして筆者のインチキ英語でどこまで伝わったか怪しいものだ。
恥ずかしながらレコードに関係ない英語は全く喋れません。
時間もだいぶ経ち、手持ちの現金も底を尽きはじめ、会場も大盛況なのかお客さんで一杯になってきたので、そろそろ帰るとH氏に言い、彼からツケで買わせてもらったレコードを持ち、また近い内に日本で再開しようと熱い握手を交わす。
A氏にも別れの挨拶を交わしに行ったら、今度は別の記者さんにインタビューを申し込まれる。
今度はカメラマン同伴だ。
「スウェーデンの音楽は人気があるのか?何でだ?他の北欧の国の音楽は?今日買ったので何が一番良かったか?何を探しているのか?何枚買うのか?」
等々、やたらと細かく訊かれるが、インチキ英語で必死に答え、上手く説明出来ない部分は、A氏に
「分かんないから代わりに答えて下さい」
とお願いし、筆者のインチキ英語を翻訳してもらう(笑)。
「 本日一番の戦利品は?」
という問には
「HORIZONの1st」
と満面の笑で返答しておきました。
会場を出て雪の中、重いカートをひたすら引きずり、背中にはレコードが山ほど詰まったバックパックを背負い駅まで向かう。
スウェーデンに来て毎日の事だが、雪に足を取られたりカートが上手く前に進まなかったりと、かなり体力を消耗する。レコードは本当に重いんです。
疲れ果ててホテルに戻り、昨日のピザ屋に出向き、昨日とは違うピザを注文。
注文してから目の前の石窯で焼いてくれるので、待ち時間も結構楽しい。
心のなかで
「落としたトッピングをそのまま私のピザに乗っけました」
とか
「ピザが今、焼かれて滅茶苦茶膨らんでおります」
「他の客の生地の方が分厚いです」
等々実況中継しながら出来上がりを待つ。
夕食はピザとビール1.5リットル。
益々軍資金が乏しくなってきたのでトラベラーズチェック以外に持っていたドル札と日本円を両替することに。
今回の買付け旅行のメインイベント終了で、少々気が抜けたが、まだ日数が残っているので、気を引き締めつつ睡眠。
会場近くの風景です。田舎ですが良い街でした。
・・・続く。